腹腔鏡手術の紹介とメリット

腹腔鏡手術は、体に数ヶ所小さな穴をあけ、そこからおなかの中(腹腔)にカメラと手術器具を入れ、モニターを見ながら行う手術です。「傷が小さく痛みが少ない」、「開腹手術と比較して回復が早い」、「術後の癒着が少ない」など、患者さまにとってはメリットが大きな手術方法で近年急速に普及しています。当院でも症例数、対象疾患とも増加してきており多くの分野で標準術式となっております。 しかし、高度な技術を要するうえに使用する機器も多く、医師以外のスタッフにも専門性が求められる手術です。炭酸ガスの注入や、腹腔鏡モニターによる視野確保など、特殊な環境下での手術になるため、手術手技・介助、術中・術後管理も、従来の手術とは異なる点があります。そこで手術に関与するスタッフ全員が腹腔鏡手術に精通してどのようなことにも対応できるようセンター全体で協力して治療にあたっています。このことは手術手技の習熟を早め、良質な機材の確保も可能となり、より安全で質の高い医療につながると考えています。

腹腔鏡手術の長所

  • 手術の傷が小さく、目立たない。
  • 術野を拡大してみることができ、より繊細で適切な手術が可能。
  • 術後の痛みが少なく、手術翌日からの歩行も可能。
  • 腸管蠕動の回復が早く、食事開始が早い。
  • 肺炎などの術後合併症が少ない。
  • 入院期間が短く、社会復帰が早い。
  • 術後の腸管の癒着が少ない。

外科で行っている内視鏡手術術式および適応疾患

内視鏡手術術式(2020年度) 適応疾患(例)
腹腔鏡下幽門側胃切除術 早期胃癌
腹腔鏡下胃局所切除術 粘膜下腫瘍
内視鏡下甲状腺切除術 甲状腺腫瘍
腹腔鏡下膵体尾部切除術 膵腫瘍
腹腔鏡下肝部分切除術 肝腫瘍
腹腔鏡下胆嚢摘出術 胆嚢結石症、胆嚢炎
腹腔鏡下結腸切除術 結腸癌
腹腔鏡下直腸切除術 直腸癌
腹腔鏡下直腸仙骨固定術 直腸脱
腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂炎
腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術 鼠径ヘルニア

外科 内視鏡手術2020年度実績

腹腔鏡下幽門側胃切除術 5件
腹腔鏡下結腸切除術 39件
腹腔鏡下直腸切除術 20件
内視鏡下甲状腺切除術 21件
腹腔鏡下膵体尾部切除術 2件
腹腔鏡下肝切除術 2件
腹腔鏡下胆嚢摘出術 113件
腹腔鏡下虫垂切除術 33件
腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術 59件